花粉症発症調査報告:第1報 <2015年シーズン>
花粉症発症調査報告
第1報<2015年シーズン>
スギ花粉飛散開始日前の症状発現に関する調査報告:第1報 <2015年シーズン>
花粉問題対策事業者協議会 「製薬関連・共通情報検討会議」
調査期間:2015年1月16日〜2015年3月6日
概 要
スギ花粉飛散開始前に症状を訴える患者が多いことが知られている。今回、これを検証する目的で、スギ花粉症患者を対象にアンケート形式で調査を実施した。その結果、以下のことが確認された。
- スギ花粉飛散開始前に約60%の患者が、症状を発症していた。
- その発症時期は、平均で7.5日スギ花粉飛散開始前より早かった。
- 初期症状をみると、目のかゆみ、くしゃみ、鼻水の順に多く、鼻づまりは、他の3症状に比し少なかった。
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調査対象
本協議会参加企業の従業員及び家族、NPO花粉症・鼻副鼻腔炎治療推進会市民講座参加者、及び、AICOS(
アキバイノベーションカレッジオープンセミナー)受講者のうち、例年花粉症状を発症する方を対象に本調査の趣旨を説明し、賛同いただいた469人を対象にアンケート調査を実施した。そのうち、すべての調査内容に回答いただいた、293人が解析対象となり、その内訳は、関東地区215人、関西地区72人、およびその他地域6人であった。 -
調査方法
下記の項目について、インターネット、メール、および書面を用いてアンケートを実施した。なお、解析に際して使用する、スギ花粉飛散開始日およびスギ花粉飛散量(実測値)は、それぞれ東京都健康安全研究センターおよび花粉情報協会の公開情報、ならびに環境省の公開情報を用いた。
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調査結果
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1)スギ花粉飛散開始日と症状発現日との関係
初期症状発現日を、①飛散開始前、②飛散開始時、③飛散開始後に分けて分析した結果、飛散開始前に症状を訴えたのは170人(58%)、飛散開始時は9人(3%)、飛散開始後は114人(39%)であり、飛散開始前より症状を発現するものが多い結果であった。なお、飛散開始日と症状発現日の差は平均で―7.5日であった。
初期症状の発現に関して3つの地域に分けて比較すると、東京および東京以外の関東地区は、地域毎の花粉飛散開始日より、それぞれ11日および6日早く症状が発現し、関西地区に比し、早めに症状が発現する結果となった。また、早く症状が発現する割合も、関西に比し多い結果となった。今回の調査期間において、関東地区の花粉飛散量は、関西地区の約3倍で、この差が症状発現日の差に影響したものと思われる。なお、関東および関西以外の地域でのアンケート回答者は6人と少なかったため、地域別の考察はこの2地域に限定して行った。
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2)初期症状
今回の調査結果では、60%の人が複数の症状を訴えていた。初期症状をみると、目のかゆみ、くしゃみ、鼻水の順に多く、鼻づまりは、他の3症状に比し少なかった。
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謝辞
本調査にご協力いただきました皆様にはこの場をかりて心より御礼申し上げます。
協議会では、今後も花粉症に関する調査研究を継続し報告していくとともに、花粉症に悩む皆様に少しでもお役に立つよう努力していく所存です。